2019/07/09
インターネットがインフラとして日常当たり前に使われるようになってきた現在、まだ使われ続けているFAXについて考えてみた。
FAXの世帯保有率は右肩下がりで減少
令和元年5月31日総務省公表の平成30年(2018年)の通信利用動向調査によれば、13歳〜59歳の年齢層でインターネット利用が9割を超えている。そうした中で世帯での情報通信機器の保有状況ではFAXは34%と、平成21年(2009年)の57.1%をピークに右肩下がりで減少している。
10年前から比べるとパソコンの保有率も減少しているのだが、これはスマートフォンやタブレット端末の保有率が増加していることと相関している。
FAXを利用している事業所は95%以上
企業としてはまだまだFAX需要があるのも確かで、現在FAXを利用している事業所は95%を超えている。インターネット等の新しい技術に疎い年代が上の世代には、メールやファイル共有等の使い方が覚えられず、逆に業務効率が悪くなるのかもしれない。
しかし、通信費、印刷用紙代、インク代やメンテナンス代等、余計な経費が発生するFAXは、デジタルネイティブの世代にとっては非効率でしかないので、近い将来には企業間のやりとりに限ればほとんど使われなくなるだろう。
固定回線に潜む危険性
インターネットを介したFAXの送受信サービスを除けば、基本的にFAXには固定回線が必要となるが、最近では一般家庭でも固定回線を利用しない家庭が増えてきている。事実、通信利用動向調査によれば、固定電話の保有状況は平成22年に90.9%だったのが平成30年には64.5%にまで減少している。
固定回線にかかってくるのはセールス電話とセールスFAXばかりでだという話も良く耳にする。そして、なりすまし詐欺被害などを考えると、固定回線を保有していること自体がリスクとなってきているのではないだろうか。
また、FAXの通信プロトコルは80年代から変わっていないため、ネットワークに接続された複合機には、悪意のあるFAXを受信しただけでハッキングされてしまう危険性があるという。※参考記事(英語)
FAXは生き残るのか?
デメリットばかりを上げてきたようだが、インターネット接続がなくても電話回線さえあれば利用できるので、高齢者にとっては電話番号だけで気軽に使えるのもFAXならではのメリットだろう。直筆で書いたものを送信できるので気持ちが伝わるという意見もある。
まだしばらくはFAXは利用され続けるとは思うが、現在のデジタルネイティブ世代が高齢者になる頃には、「昔はFAXというものがあって…」などと言う話をしているかもしれない。